求人探しの条件は人それぞれ
休日に介護系の求人サイトを眺めていたときのことである。パソコンと見つめ合っている私の背後からなにやら不穏な足音が聞こえてきた。次第に音は大きくなり、やがて私のすぐ後ろでピタッと止まった。「曲者め!」と言いながら注意深く後ろを振り向くと、そこには若かりしころのアーネスト・ヘミングウェイを彷彿とさせる端整な顔立ちをした幼い子供が立っていた。何を隠そう私の息子である。
息子は「パパぁ、なにしてるの?」とつぶらな瞳で私に問いかけてきた。もちろん、介護系の求人サイトを眺めていたのは別の職場へと転職したいからではない。
私の親友が、「お前の家ってさ、父さんも、お前も、お前の奥さんも全員介護福祉士だろ?俺も介護福祉士として活躍したいから、職場環境とかそういうので条件良いところ教えてくれよ」と懇願してきたため、大事な休日を使い疲れた体に鞭打って代理として調査をしている。私は息子に「ちょっと、調べモノをね」と言い、少しあやしたあと洗濯が終わって一息つこうとしている妻に託した。
私は調査を再開する。調べていると女性より男の職員数の方が多い珍しい求人も見つけた。その後も数時間求人サイトで募集案件を探し続けてみたが、やはり私と妻が働いている介護施設が一番条件が良かった。しかし、ここは紹介できない。妻はさておき、親交が深いやつと同じ職場で働くのはどうも気が気でないのだ。そもそもどうしてあいつは介護福祉士になりたいのだろう。私は親友に電話で理由を聞くことにした。あいつなら3コール目で出るくらい暇を持て余していることであろう。発信ボタンを押すと、2コール目で親友は電話に出た。親友は陽気な声で「おう、求人は見つかったか?見つかったら資料送ってくれ」と言った。私が「まだ。それよりお前はなんで介護福祉士になりたいんだ?それ聞いてなかったよな」と言うと、親友は凄みながら「職場に女性が多いからだ」と答えた。私は無言で呆然と立ち尽くした。
そして、私は数秒の沈黙を経て答えた。
「あ、お前にぴったりの求人見つかったから紹介するよ」
喜びを露にする親友を尻目に、私は数時間前に見つけた稀有な求人の資料を送った。
そうそう、介護系の求人サイトを探していると興味深いサイトを見つけたので紹介しておこう。あいつとは違って、自力で介護系の求人を探している方のいい手助けになりそうだ。・・・『介護系お仕事探し』